Unframed

dilbelau2

2021年10月26日 09:05

BIFF5本目は 『언프레임드』(Unframed)。ロッテシネマセンタムシティで。4人の俳優がそれぞれ脚本を書き、監督として演出した約30分の短編のオムニバス。


チェ・ヒソ監督の 『반디』(パンディ/ホタル)は、チェ・ヒソさん本人も出演していた。吃音がある小学生の少女パンディ(パク・ソイ)は母(チェ・ヒソ)と二人暮らし。母は、パンディの父親が実はすでに亡くなっているという真実を本人にまだ告げられずにいる。この世からいなくなった存在との向き合い方をそっと描き出している。ホタルがいるという設定の裏山でのシーンは映像もとてもきれいだった。優しいトーンの作品。

ソン・ソック監督の 『재방송』(再放送)は、売れない俳優である甥とおばとの関係を描く。甥役のイム・ソンジェさんの演技が秀逸。ぶっきらぼうながらも結局は最後までおばを優先して行動する甥の不器用な愛情がにじみ出ている作品だった。

パク・ジョンミン監督の 『반장선거』(学級委員選挙)は4作品のうち一番印象に残った。小学校の学級委員に立候補した男子ユ・ジャンウォンは対立候補の女子チュ・ソニョンに何としても勝利するため、大人しくて目立たないクラスメイトのチョン・イノ(キム・ダモ)に不正を依頼する。引き受けてくれたら友だちグループに入れてやると言われ、引き受けるイノ。はたして不正は成功し見事ユ・ジャンウォンが当選するのだが、捏造した投票箱とすり替えた本物の投票箱を開けてみると、意外な事実が・・・というストーリー。チョン・イノのなんとも言えない表情や、本物の選挙さながらに白熱した選挙活動、手に汗握る開票シーンの演出がとても斬新でよかった。

イ・ジェフン監督の 『블루해피니스』(ブルーハピネス)は就職活動中のチャニャン(チョン・ヘイン)が、カフェで偶然再会した知人の勧めで株式取引に手を出したことから起こる出来事を描く。株に失敗して大損を出し、最後は恋人のジウン(キム・ダイェ)がプレゼントしてくれたカメラまで手放す羽目になる。それにもかかわらず、また有望株の情報を耳打ちされると・・・。格差社会や厳しい就職難などの社会問題も背景として描かれている。

それぞれ個性があってとてもおもしろかった。4つの話を一度に楽しめて得した気分。俳優は 「表現者」 だけあって、やはり演出するのもお手の物なのかなと。こういうオムニバス、ぜひまたつくってほしい。

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