2021年12月28日

朴寿根の特別展 / ソウル6

つづき

朴寿根(1914~64年)の特別展 「봄을 기다리는 나목」(春を待つ裸木)は、彼が19歳のときに描いた水彩画から51歳で亡くなる直前に描いた油絵まで絵画約100点、資料約200点が展示されている。2022年3月1日まで。

美術館の1、2階にかけて、4つのテーマに分かれていた。

1.ミレーを愛した少年
12歳のときミレーの絵を見て感動し画家になることを決心したものの、家が貧しく専門的な教育は受けられなかった。独学で絵を描き、18歳のとき朝鮮美術展覧会に入選。その後も農村の風景や日常を素材とした絵を描いた。

2.米軍と展覧会
1953年、大韓民国美術展覧会で特選を受賞して名が知られるようになった。飾り気のない素材を選び、それに合う個性的な画法を駆使した彼の絵は評論家にも認められた。朝鮮戦争当時は米軍のPXで肖像画を描き、龍山の米軍部隊で絵を展示販売して生計を立てた。同じくPXで働いていた朴婉緒(パク・ワンソ)は、のちに小説で当時の彼のことを描いている。

3.昌信洞の人々
朝鮮戦争当時に家族と避難してきた彼はソウル市鍾路区昌信洞に定着する。人々の暮らしや社会の風景を描いた昌信洞での約10年は彼の画家としての全盛期となった。

4.春を待つ裸木
朴寿根が活動していた時期、韓国では抽象美術が流行しており、彼もアメリカから入ってくる抽象画を見て勉強したが、独自の画風は一貫して守った。絵の具を何層にも重ねて立体的な質感をつくり、対象を非常に単純に描き、使用する色も抑えているのが彼の絵の特徴。批評家は 「西洋の油絵を韓国的にうまく解釈した画家」 と評価する。彼の死後、1970年代末に韓国経済が発展したのちに、韓国でも作品が取引されるようになり、現在のような名声を得るに至った。

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맷돌질하는 여인(Woman Milling, 1950年代前半)

朴寿根の特別展 / ソウル6

절구질하는 여인(Woman Pounding Grain, 1952)

朴寿根の特別展 / ソウル6

彼が挿絵を描いていた雑誌などがずらり。

朴寿根の特別展 / ソウル6

韓国電力の社報の挿絵(1964~65)

朴寿根の特別展 / ソウル6

画具(Painting Supplies, 1962)

朴寿根の特別展 / ソウル6

朴寿根の特別展 / ソウル6

つづく



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