少し前、久しぶりにマリンシティにある 「
공릉닭한마리」(コンヌンタッカンマリ)のタッカンマリが食べたくなって夫と出かけたら、「内部修理のため休業中」 だった。
その後しばらくして、そろそろ営業を再開しているかなと電話してみたら、「この番号は現在使われておりません」。直接店に行って確認したわけではないが、もしかしたら閉店したのかも??
と、タッカンマリに2度もふられ・・・。
じゃあと、何度か行ったことのある大淵(テヨン)洞の 「
명동 닭 한마리」(ミョンドン タッカンマリ)へ向かった。家から歩いても行けなくはないが、すでにおなかが空いていたのでバスに乗って行くことに。
ところが道中で、大淵洞といえば南区庁のすぐ近くにある 「
예가」(イェガ)も久しぶりにいいねという話になった。おいしくて気に入っているのだが、家から少し離れているのでしばらく来ていなかった。
「ミョンドン タッカンマリ」 も 「イェガ」 も下車するバス停は同じ。「イェガ」 は確か日曜日は休みだったような・・・と思いつつ、まずはバス停から近い 「イェガ」 をのぞいてみた。するとドアが開いていて店先に人が立っていたので営業しているのかと思いきや、立っていたのは店の人で、「本日はあいにく営業していません」 と申し訳なさそうに頭を下げた。
じゃあやっぱり 「ミョンドン タッカンマリ」 に行くかなと思ったが、そういえば以前 「イェガ」 の近くを歩いていて気になった店があったなと、そちらへ向かってみた。何の店だったかは思い出せないが、確か 「あ、ここもおいしそう」 と思った店があったのだ。
店の前に行ってみると、サムゲタン専門店だった。サムゲタンはサムゲタンでも、スープに엄나무(オムナム=ハリギリ)を使ったサムゲタンだそう。場所は南区庁のすぐそば。大きな住宅を改造した店のようで、門構えも立派だ。
塀にはメニューやハリギリの特徴が、なんと韓・日・英・中の4カ国語で書かれている。観光地の案内板並みだ。ハリギリといえば、「ミョンドン タッカンマリ」 でもタッカンマリのスープに使っていると言っていた。ハリギリと鶏肉は相性がいいのだそうだ。
なかなかおいしそうだったので、結局、この日はこの店に入ることにした。
門をくぐるとふわっとキンモクセイの香り。見上げると、キンモクセイではなくギンモクセイの大きな木が門のすぐ脇に立っていた。玄関横のテラスでは、食後のコーヒー(韓国の甘いミルクコーヒー)を飲みながらおじさんが2人くつろいでいた。
店内は個室がいくつかあり、やはりもとは住宅だったことがうかがえる。なかなか立派な建物だ。店内には伝統楽器カヤグム(伽倻琴)で現代風の曲を演奏した音楽が流れており、静かで落ち着く雰囲気。掃除も行き届いていて清潔そうだ。
サムゲタンのメニューは엄나무삼계탕(ハリギリサムゲタン・12,000w)と엄나무전복삼계탕(ハリギリ・アワビサムゲタン・15,000w)の2種類。
ほかに、오리 불고기(鴨肉プルコギ・20,000w)や엄나무 오리 한방백숙(ハリギリ鴨漢方水炊き・30,000w)、엄나무 닭 한방백숙(ハリギリ鶏漢方水炊き・30,000w)、엄나무 닭 곰탕(ハリギリ鶏コムタン・6,000w)などもある。한방백숙(ハンバンペクスッ=漢方材料を使った水炊き)は1時間前に予約が必要。
まず、定番の付け合せが並ぶ。カクトゥギや똥집구이(トンチックイ=砂肝炒め)、白菜の겉절이(コッチョリ=浅漬け)などと、徳利に入った朝鮮人参酒。徳利の口をアルミホイルでぴちっと覆ってあるところからも、飲食物を清潔に扱っている印象を受けた。
砂肝炒めは歯ごたえがよく好物の1つだ。サムゲタンの付け合せとしては定番中の定番でどの店でも出てくるが、この店のは今まで食べた中で一番おいしい砂肝だった。炭火で焼いたのだろうかと思われるほど香ばしく、カリカリのガーリックもおいしさを倍増させている。適度な塩味もついていて非常においしい。後を引くおいしさだ。똥집구이そのものもメニューに並んでいる(2,000w)ほどなので、やはり人気なのだろう。
やがて、グラグラ煮えたぎるサムゲタンが登場した。
スープはとろみがあって濃厚な味わいだ。サムゲタンは、食べる人がスープに塩を加えて塩加減を調節して食べる料理だが、ここのスープは塩を加えなくてもちょうどいい味になっていた。あのとろみは、スープをよく煮詰めることで生まれるものなのだろうか。
鶏肉に詰められているのは、もち米・朝鮮人参・ナツメ・栗。もち米がたっぷり入っていたので、かなりお腹がいっぱいになった。ハリギリの効能について説明した案内文は、部屋の中にも張られていた。もちろん4カ国語で。
翻訳ソフトを使ったようで日本語はかなり怪しいが、それによると、ハリギリはサンサム(山に野生の朝鮮人参)と呼ばれるほどで、糖尿病や肝機能改善の効果が期待できるとのこと。また、消炎作用もあるため関節炎やニキビ、アトピーなどにもよいとされているそうだ。
非常においしくいただいた。食後、玄関脇のテラス席に座ってしばらくくつろがせてもらった。テラス席でも食事ができるように、箸・スプーンなどがセットされていた。今の時期は外で食べるのも爽やかでいいだろう。テラスにもカヤグムの音楽が聞こえていた。
庭先には大量のハリギリが出番を待っていた(▼)。ものすごく鋭いトゲだ。
テラスから門の方向を見たところ(▼)。門の右手にあるのはギンモクセイの木。門には、店に入ってくる客には 「いらっしゃいませ」、帰っていく客には 「さようなら」 と見えるよう、これまた4カ国語で書いてあった。
店員さんの接客態度も非常に感じがよく、是非また来たいと思える店だった。
명품 엄나무 삼계탕(ミョンプム オムナム サムゲタン)
釜山市南区南区庁1ギル11(旧・大淵洞)
(051) 635-3352